オリンピックは世界中が注目する大イベントです。ですがその裏側では、ドーピングが原因で出場権を破棄される選手も数多くいます。大会で活躍したい気持ちはわかりますが、ドラッグによる筋肉増強はフェアではありません。この記事では、これまでにドーピングで出場権がはく奪された選手を紹介しています。
アンチ・ドーピング・ムーブメント
世界では、ドーピングを防ぐムーブメントが起こっており、1999年には「世界アンチ・ドーピング機構(WADA)」が設立されてました。それに続くようにアンチ・ドーピングの統一ルールである「世界アンチ・ドーピング規程(Code)が採択され、世界中で厳しくドーピングが規制されるようになりました。オリンピック選手全員には試合前に尿検査をする義務が課せられており、ここでドーピングをしていないかチェックされます。
ベン・ジョンソン選手
世界中にスポーツ界におけるドーピングについて知らしめたのが、カナダの陸上競技選手であるベン・ジョンソン選手です。
このベン・ジョンソン選手、1984年のロサンゼルスオリンピックで銅メダルを獲得した実力のある人物です。また、1988年ソウル大会陸上競技男子100mで、9秒79の世界新記録を打ち出して金メダルを獲得しました。しかし、レース後のドーピング検査で蛋白たんぱく同化ステロイドのスタノゾロールに陽性反応が出たため、金メダル剥奪となりました。これは世界新記録の取り消しにもなったため、世界中を落胆させる事態となりました。
リック・デモント選手
リック・デモント選手はミュンヘンオリンピックの競泳400m自由形で金メダルを獲得しました。しかし、その後ドーピング検査で興奮剤のエフェドリンの陽性反応がでたため、メダルははく奪。ドーピングによって金メダルがはく奪されたのは、これが世界初の事例となります。
マリオン・ジョーンズ選手
マリオン・ジョーンズ選手はアメリカ代表の陸上競技選手であり、シドニーオリンピックで金メダル3つと銅メダル2つを獲得しました。しかし、試合後にコーチに栄養補助のアマニ油と偽られてドーピングを使用したことを自ら告白。これによって、獲得したすべてのメダルがはく奪されただけではなく、ステロイド使用と偽証罪で禁固6月の判決が下されました。
ロシアの陸上選手3名
ロンドンオリンピックでは、陸上競技においてなんとロシア代表の3選手にドーピングが発覚。金メダルを獲得したセルゲイ・キルディアプキン選手、ユリア・ザリポワ選手、銀メダルを獲得したオルガ・カニスキナ選手の3人にドーピング検査で陽性反応が出てしまったのです。これによりオリンピックだけではなく、世界選手権や欧州選手権で獲得したメダルも剥奪される事態となりました。
ワジム・デビャトフスキー選手とイワン・チホン選手
ベラルーシ代表のワジム・デビャトフスキー選手とイワン・チホン選手は、北京オリンピックの男子ハンマー投げにおいてドーピングが発覚。一時はメダルはく奪となりましたが、なんとその後2人の選手がスポーツ仲裁裁判所に不服を申し立て提訴。そして、裁判所がこの提訴を認めるという異例の結果に。これにより結果的に2人は銀メダルと銅メダルを獲得することとなりました。